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5.4.8 乗車係数と停車時秒の関係

前項で乗車係数を変化させた場合について論じたが、この乗車係数pは、5.4.3項で示したように一人当たりの乗車に要する所要時秒を表している。この値の変化が停車時秒にどのように影響をあたえるかを都交通局王子停留所B線の乗車人員と停車時秒のデータに図示したものを図-5.4.19に示す。

図-5.4.19に実線で示した相関係数線が本シミュレーションの標準的な係数P=1.2を示し、図-5.4.3に示したものと同一である。

それ以外の線が今回、乗車係数を変化させた場合を示し、停車時秒との相関を理解戴けものと考えている。

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図-5.4.19 乗車係数と停車時秒の関係図

 

5.4.9 旅客流動の影響と利用者の視点からの評価のまとめ

乗客の立場にたって、旅客の流動状況の影響によるLRVの走行シミュレーションを実施し、その結果を考察した。これらの検討結果から次のことが明らかにされた。

(1) 乗降パターンをモデル化し、都交通局荒川線の調査データを基に、乗降人員と停車時秒の関係を定数化して、列車遅れのシミュレーションを実施した結果、所期の目的を達成し、本シミュレータの有効性を確認した。

(2) シミュレーションの結果からいずれも在来車では、遅れが伝播し、混雑率も損失時分も増大することが認められた。

(3) 一方、LRVは、与えられた遅れが回復し、混雑率も急激に増大することが防止され、利用者の立場からも満足できることが確認された。

(4) LRVは回復力が高いので、先行列車に接近することが多く発生する。そのため、提案の出発抑止機能を活用した等時隔制御方式の採用が効果を示し、ダンゴ運転の解消に有効であることが確認された。

(5) 乗降パターンを変化させた場合のシミュレーションにより、乗降パターンbの場合、乗車人員の多い停留所における遅れが増加するので、乗降パターンaの場合に比し、遅れが増大し、混雑率、損失時分とも増加することが示された。

(6) 乗車係数を変化させた場合のシミュレーションにより、1人当たりの乗車係数pの増加が遅れ時秒を増大させることが示されたので、運賃収受方式の短縮化等により停車時秒を短縮化することが必要であることが確認された。

(7) 以上の結果からLRVの高速化、高加減速化の効果が高いことが確認された。

 

 

 

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