日本財団 図書館


原油Bに対して、S-5は、原油Aと同じ傾向を示し、散布率2%で最高分散率32.5%を示した後は、散布率が増すほど、分散率が低下し、散布率4%では最高値より5.7%減少した。S-7は、散布率3%で最高分散率58.8%を示し、散布率4%で分散率55.4%と若干分散性能が低下したが、最適散布率は3〜4%の範囲である。外国製は、右上がりの分散性能を示し、散布率4%で分散率55.4%である。

 

C重油に対して、S-5は、散布率1%及び2%では、分散率が20%を下回ったが、散布率3%で分散率34.7%、散布率4%で分散率37.4%の分散率を示し、少ない散布率で30%以上の分散性能を示した。S-7は、S-5と同様に散布率2%以下では分散率20%を下回ったが、散布率3%以上では分散率20%以上を示した。外国製は、散布率は1〜3%の範囲でほぼ直線的に分散率が増加し、最適散布率は3%で分散率44.4%を示した。散布率4%では若干分散性能が低くなり38%を示した。

 

以上、油種と散布率との性能調査から、S-5及びS-7は、原油に対して、2%〜3%程度の散布率で最大の分散効果があることが分った。このことから、各原油に対して、最適な散布率があることの知見を得た。さらに、油種によって、効果の高い油分散剤や低い油分散剤があることが分り、原油や燃料油にそれそれ固有の界面活性剤1が含まれており、油分散剤の界面活性剤との相性により分散性能が左右されることとなる。

このため、本調査研究では、流出油事故現場において流出油と各油分散剤との相性を確する簡易試験法(参考資料IX)を考案した。

 

1) Gerard P. Canevari, 1085, Basic Study Reveals How Different Crude Oils Influence

Dispersant Performance, 1987, OSC

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION