(3) まとめ
1) かく拌方法
調査の結果から、試験油の作成には、手かく拌方式及びペンシル・ミキサー方式が有効であることが確認されたが、個人差の生じにくさに着目すると、要領を定量的に規定できるペンシル・ミキサー方式によるのが適切であると考えられる。この場合、かく拌に用いる容器、器具等は次のとおりである。
1] 混合容器 デスカップ(100ml、直径約48mm×深さ約80mm)
2] 試験油の混合量 油30gに対し分散剤1.2g
3] かく拌機 ペンシル・ミキサー
(先端が板状のもの。縦20mm×横7mm。無負荷で7,000rpm)
4] かく拌方法 5秒間の円周混合、5秒間の8の字混合及び交互に5秒間行う
上下左右混合を繰り返す方法
2) かく拌時間
かく拌時間については、調査の結果から3分間としたかく拌時間が分散率等の面で良好であり、また、従来から手かく拌方式によって3分間程度のかく拌を行っていて実績があることから、3分間が適切であると考えられる。
なお、試験油の粘度によってはペンシル・ミキサーの回転数が変化し、かく拌時間の調整が必要であるとも懸念されるが、試験管振とう試験の結果からは、かく拌時間を変化させても乳化層の状況はほぼ同じであることが観察されており、かく拌時間の調整は必要ないものと考えられる。
2 試験方法への反映
今回の調査結果をMDPC法による分散剤の性能試験法に反映させ、同試験法を表V-1に再度整理した。この中で試験油の作成に関係する油処理剤混合油の記述を「油10gに油処理剤0.4gを加え、十分にかく拌し試験油とする。」から「油10gにつき油処理剤0.4gを加え、十分にかく拌し試験油とする。」に改めることとした。また、MDPC法の一連の試験操作を「MDPC法分散性能試験手順」として整理し、試験油の作成要領の他に人工海水の調整要領を明確にした。