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1) 平水中及び波浪中における油回収性能(図I-19〜図I-21)

1] 波浪中は波がブラシコンベアーを駆け上り、下った際、ブラシコンベアーの前面に水流とは逆向きの流れが生じた。この逆水流により試験油が押しのけられ、試験油がブラシコンベアーに付着することを妨げているのが観察された。また、2機のスクリュープロペラが上下方向に設置されていることから、波浪中では上方のスクリュープロペラに空転を生じ、水流の流速が減速され、ブラシコンベアーの回転により発生する水流の影響を大きく受け、ブラシコンベアーへの試験油の付着を妨げている現象が同じく観察された。この二つの原因が大きく油回収に影響し、各試験油において時間当たり回収油水量及び時間当たり油回収能力は、平水中に比べ波浪中が減少している。試験油3における波浪中での回収状況を写真I-9に示す。

2] 各試験油における油回収効率は、平水中及び波浪中とも8割以上であるが、その値にはほとんど差はなかった。

 

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写真I-9 供試体6 試験油3における波浪中での試験状況

 

2) 粘度変化による油回収性能(図I-22〜図I-23)

1] 本試験では試験油1の粘度(100cSt)では、試験油がブラシコンベアーに付着せず、ブラシコンベアーの背面に透過し、回収することができなかった。

2] 試験油2及び試験油3の粘度(2,600〜6,000cSt)では、試験油がブラシコンベアーに付着し、ブラシクリーナーで梳き取られ回収することができた。

3] 粘度変化による時間当たり回収油水量、同油回収能力及び油回収効率は、粘度が高いほど上昇し、供試体1と同様に付着式の特徴が如実に現れた。

4] 他の2つの供試体では、上記項目の数値が平水中と比較し波浪中の方が全般的に高い傾向を示しているが、本油回収装置においては逆の傾向を示す。

 

 

 

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