2) 粘度変化による油回収性能(図I-15〜図I-17)
1] 本試験の粘度範囲(約100〜16,000cSt)では、油は流入ゲート(堰)から水とともに流れ込み、外付けのポンプで移送(回収)することができた。
2] 粘度変化による時間当たり回収油水量は、試験油1及び試験油2で波浪中での値が平水中より高いが、試験油3では同じ値であった。しかし、いずれの場合でもその値に大差はなかった。
3] 粘度変化による時間当たり油回収能力は、平水中では粘度が高くなるにつれて上昇傾向を示すが、波浪中では試験油2をピークに試験油1及び試験油3ともほぼ同じ値となった。
4] 粘度変化による油回収効率は、いずれの試験油でも波浪中の値が平水中の値に比べ若干上回っているが、平水中及び波浪中とも試験油2が一番効率が良く、試験油1と試験油3はほぼ同じ割合となった。
3) 回収油水の状況
本油回収装置は吸引-堰式であるため、供試体4及び供試体6の付着式と比較し水を多目に回収する。
回収された試験油は、ロータリー式容積ポンプにより混濁され若干気泡を生じるが、ローブ式ポンプやアルキメデス型ポンプと比較し、比重分離が速やかに行われる。この原因としては、ロータリー式容積ポンプは油水をあまりかく拌せず、移送することと考えられる。
4) その他の状況
1] 回収準備等
本油回収装置の運転準備には、本体及びパワーパックとも小型・軽量なためクレーン等重機を必要とせず、人力で行うことが可能である。また、回収用ホースの接続も簡単であり、迅速に回収準備ができる。
装置の大きさの割には大量の水を回収することから、比重分離した水を排出するためのバルブが設置された回収容器を必要とする。
2] 輸送・保管状況
本油回収装置は小型・軽量で輸送はライトバンで可能であり、保管もスペースを取らない。