(2) 油種による滞油性能と油層厚さ等5)
前項の各型オイルフェンスの滞油性能試験では、No.1試験油(B重油相当潤滑油)を使用して性能を調査した結果、オイルフェンスの型式が異なってもほぼ同じ油層の形状でかつ油層長さ及び油層厚さが同じであった。
このことから、第10基準研究部会では、「軽質油に対するオイルフェンスの滞油性能に関する調査研究」にB型の固形式及び衝立式オイルフェンスを使用して、灯油及び軽油に対する性能についても調査している。
本項では、使用実績が圧倒的に多い固形式を対象として調査結果の一部を抜粋してまとめた。
供試オイルフェンスは、3(1)項の固形式オイルフェンスである。
試験に用いた軽質油はJIS K2203 1号(燈火用及び暖厨房用燃料)の灯油及びJIS K2204 1号の軽油で比較用にNo.1試験油(B重油相当潤滑油)の性状を表1-3-4に示す。
なお、試験油の散布量は、屋内の回流水槽施設での第二石油類(灯油、軽油等)の取扱いの制限から0.5klした。
※印は、タービン油の抗乳化性試験法に基づいて調査した結果であるが、灯油及び軽油とも乳化層がなく分離時間も極めて早かった。
1) 油層長さ
平水中、波浪中及び風浪中における各油種の油層長さを図1-3-18に示す。
水槽側壁における油層長さ(l1)と水槽中央の油層長さ(l2)とは異なるので、ここでは両者の平均値を油層長さ(l3)とした。
油種にかかわらず潮流のみの場合が一番長く、それに波浪を加えた場合が次に長くさらに風を加えた場合が一番短い。
また、試験条件にかかわらず灯油、軽油、No.1試験油の順に油層長さが短くなる。