日本財団 図書館


ステップ5

037-1.gif

ステップ5; ステップ4の状態に、波を加えた場合を示している。実験に使用した波は、波高が30cm、または60cm、波長が10mの規則波である。波高が高いので、波の持っているエネルギーが大きく、平板型フェンス前面での波の反射も大きい。

フェンスによる反射波、または返し波のために、油層は上方から下方へ向う衝撃的な波の力を受け、この部分の油層から水中下方に向って油滴を発生する。この油滴が発生する力は、かなり強く、水面下2m位に達することもあり、これが主流に乗ってフェンス後方へ流出していく。

この状態がステップ4の後段に述べた先頭波及びフェンス前面の界面波下方からの油滴の流出と重って、油の流出量が増してくる。

 

ステップ6

037-2.gif

ステップ6; さらに風が加わった場合である。風の力のために、油層はフェンス側に押され、油層長さは短く、従って油層厚は大きくなる。特に、フェンス直前の界面波は大きく、水中深く達する。このため、フェンス前面の渦の回転の影響を受けることが強くなり、油滴の発生を促進する。一方、油層の先頭波内の回転も風の作用のために促進され、そこからの油滴の発生も多くなる。また、フェンスによる返し波の影響もこれに加わるとともに、返し波及び油層表面の小波の上面を吹き抜けていく風のために、油及び水の飛沫がフェンス後方に飛んでいく。フェンスの乾舷が小さい場合は、静水頭、波高、風による水頭増加が加わって、フェンス上面に沿って油水が後方へ漏れる(越波)ことがある。このように、漏油は継続的となりやがてフェンス前面から油が消失してしまう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION