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第3章 土砂災害危険予測システムの概要と特徴

 

1. システムの特徴

 

1.1 実践的―防災担当者の意思決定を直接支援―

(1) 今この瞬間においてとるべき対策を指示

市町村や消防本部等では、地域防災計画、警防計画、活動マニュアル等において、豪雨時の活動体制・配備体制とその体制設置基準・配備基準が定められています。これらの活動体制設置基準・配備基準には、大雨注意報、大雨警報は位置づけられているものの、全般的に抽象的な表現となっています。また、地元気象台から発表される大雨注意報・警報は、(防災を目的に安全側で運用されていることから)個々の市町村ごとにみた場合には「空振り」になる確率は決して低くはありません。

そのため、市町村等の防災担当者がどの時点でどのような活動を展開するべきかを自信をもって判断できず、状況がわかってから(=被害が発生してから)対応する、いわゆる「状況あと追い的対応」(危機管理の最も悪いパターン)に陥りがちになります。

本システムは、土砂災害発生危険度の各レベルに対応して市町村、消防本部、住民等が今とるべき対策を指示することにより、この問題を解決しています。

(2) 市町村等の地域特性・防災特性に対応した実践的な対策を指示

(1)で述べた活動体制・配備体制は市町村等によって異なります。また、避難の勧告・指示のタイミングも土砂災害危険箇所の数や避難所の整備状況、住民への情報伝達手段の整備状況、住民の防災知識・意識の状況、自主防災組織の結成状況などによっても異なります。

本システムでは、セットアップ時にこれらの条件を反映させ、運用時に実践的な対策を指示します。

 

1.2 リアルタイムで土砂災害発生危険度を把握

(1) 刻々変化する土砂災害発生危険度をリアルタイムで把握

これまでの豪雨災害では、何の変哲もない雨が30〜60分後には猛烈な雨に変わり、あっという間にあたりの様相を激変させ、各地で土砂災害を発生させています。そのため、豪雨時の土砂災害対策では、降雨状況に伴い刻々変化する土砂災害発生危険度を可能な限り迅速に把握することが必須となります。

本システムは、市町村等に設置された雨量計から直接データを収集するため、降雨状況や土砂災害発生危険度をリアルタイムで把握できます。

 

 

 

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