本日、ここ横浜市において第二十八回全国消防救助技術大会を開催いたしましたところ、消防庁長官殿、神奈川県知事殿、横浜市長殿をはじめ、多数のご来實のご臨席を賜り、このように盛大に開会できますことを厚くお礼申し上げます。
さて、この大会は、各種災害から地域住民の安全を守るため、高度な救助技術の錬磨と強じんな体力を養成することなどを目的として、昭和四十七年以降毎年実施しているものであります。
消防の救助技術は、隊員の皆さんのたゆまぬ訓練、研究の積み重ねと、関係各位の救助資機材の改良、開発、あるいは活用技術の研究などにより着実に向上しております。
そしてその成果は、国内における災害現場での活動にとどまらず、海外での地震災害等における国際消防救助隊の活動においても、その実力を遺憾なく発揮し国内外から高い評価を得ているところであります。
しかしながら、近年の社会環境、都市化の進展、生活様式などの変化に伴い、災害様態も複雑多様化し、今までに類のない都市型災害が発生するなど、予想し難い災害の発生危険が増大しており、今まで以上のより高度な知識、技術と迅速な対応が求められ、我々消防機関が行う救助業務に対する地域住民の期待は一層高まっております。
全国各地区支部の多くの隊員から選抜され、本大会に参加している隊員の皆さんは、こうした実情を十分認識し、更に実戦的な訓練を積み重ね、あらゆる災害に即応できる技能の習得に、一層努めるよう切望するものであります。
折しも、皆さんご案内のとおり十七日未明トルコ共和国西部で大地震が発生しております。
日本から国際緊急援助隊五十三名の派遣が決定され、消防からも市川市、川崎市、神戸市、尼崎市、東京消防庁の各消防本部の救助隊員等二十五名で編成する国際消防救助隊が一昨日と昨日に派遣されたところであります。
なお、現地時間の零時頃、第一次派遣隊が、三名を救出した模様であり、間もなく第二次派遣隊が到着し活動を開始する予定です。
本日、参加された皆さんについても、日頃の訓練成果を遺憾なく発揮し、所期の目的が達成されるよう、健闘を期待しております。
結びに、本大会の開催にあたり、特段のご高配を賜りました横浜市ご当局並びに横浜市消防局の皆様に、心からお礼申し上げますとともに、ご列席の皆様のますますのご健勝を祈念いたしまして、挨拶といたします。