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感謝の気持ちを伝えたくて

東京消防庁 高輪消防署

 

「救急隊の鳥海さんに会いたいのですが」小さな女の子を抱いた相川絵美里さんが当署を訪れた。相川さんにとって一年半以上もの間の念願がかなっての来署だった。

平成九年六月一五日、生後三日目の女児が発熱し呼吸障害をおこし、産婦人科から医療機関へ転院搬送することになった。赤ちゃんは重篤の状態で、母親は出産直後にもかかわらず、着の身着のままの状態で救急車に乗り込んだ。赤ちゃんは危険な状態であり、医師からはご主人に連絡するよう告げられた。しかし、パジャマ一枚で飛び出した母親には現金等の持ち合わせがなく途方に暮れていると、側にいた救急隊長が一枚のテレホンカードを差し出し、「これを使って電話してください。赤ちゃんは必ず助かります。お母さんもしっかり」と励まされた。

赤ちゃんは助かり、母親である相川さんはあの時の感謝の気持ちを伝えたい、もう一度会ってお礼が言いたいとの思いを強め、放送局に協力を依頼した。

放送局から連絡があり、鳥海隊長と一年九ケ月ぶりに再会した相川さんは、「あの時のことは、この先も一生忘れません」と語り、赤ちゃんが可愛らしい笑顔を浮かべたテレホンカードを手渡した。

 

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第15回救急救命士国家試験合格状況

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編集後記

★ 今月号では、徳島県で発生した地下下水道内の救助活動事例と福島県で発生した高速道路での多重追突事故における救助活動事例を掲載いたしました。災害発生時の消防側の対応や今後の問題点等について執筆していただきました。業務上の参考にしていただきたいと思います。

また、このような特異な災害や業務上参考となる事例がありましたら、編集部に御一報いただければと思います。

★ ゴールデンウィークも終わり、気分を新たにされている方も多いことかと思います。これからは、梅雨に入り気候も蒸し暑くなってまいります。健康管理に留意し、訓練や消防業務の推進に頑張っていただきたいと思います。

(大橋)

 

 

 

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