糖尿病についての理解が進み、以前ほど特別視されることはなくなったとはいえ、糖尿病の子供たちに対するプレッシャーは病気から直接くるものばかりではない。おなじ条件の子供たちが集まるという一点を取っても、サマーキャンプの存在は貴重なものと言える「楽しかった」「また来年も」と言う子供たちの笑顔や、「肩の力を抜いて来年まで頑張ります。」という保護者の方々の言葉は、主催者として何にも変えがたい事業の効果、収穫であった。
22]福井県小児糖尿病サマーキャンプ
平成11年8月5日〜8月8日 福井市少年自然の家
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参加者たちの感想文においては、「キャンプファイアーやお菓子作りなどの様々な行事への参加や、自由時間での遊びがとても楽しかった」というものや、「友達が増えてよかった」というものがほとんどであり、当キャンプの一番の目的である、他患児やスタッフたちとの交流を楽しむという面では、満足してもらえるものであったと思われる。
また、年長児においては、「年少児と遊んで楽しかった」「今度はスタッフとして、子供をみていきたい。」など、様々な年齢の児との関わりを通して、自分の存在意義、役割などを意識した感想もみられていた。
医療面では、注射などの手技にはすでに慣れた児が多かったせいもあって、具体的な感想は少なかったが、「自分の食事量をつかむことができ、今後の生活に役立てたい。」と、述べたものがあった。
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年少児においては、「また、参加したい。」という感想ばかりであった。
年長児においては、キャンプの運営について、「様々な年齢の参加者たち全員が、一緒に楽しめるものに。」「自分たちの意見が反映されるものに。」などという意見や、「楽しいだけでなく、糖尿病のコントロールなどについて、何かひとつでも、知識として得るもののあるキャンプに。」などという意見も出されていた。
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自己注射や自己血糖などの手技について、キャンプをきっかけに、他の患児の行動などを見たりすることで、修得できるケースが多い。
また、自分の中の様々な思いを、仲間やスタッフ達に気楽に話し、理解し合うことによって、ストレスが軽減されたり、壁を乗り越えるきっかけとなるなど、精神面での効果は、非常に大きいと思われる。
更に、病歴が長く、既にコントロールに慣れた児においても、改めて、食事などのコントロールについて考える機会になっていると考えている。