九州地区協技術研修会
平成11年12月8日
「舞台機構における的確な操作とその為の環境整備」
(社)劇場演出空間技術協会 大野晃氏
1)【施設の規模と条件の違いによる使用勝手の相違】
(自主制作形態、共催形態、貸し劇場形態の比率と対応)
舞台機構における的確な操作とその為の環境整備ということで、お話をするわけですがこのことは、皆様方基本的には、日常、舞台というものに接しられていて改めてお話する内容かどうかわかりませんが、私なりに長年、舞台を管理運営してきたという経験上整理した事をお話してみようと思います。いろいろ公立の施設は数多くありますが、ことに最近大型の施設がどんどん増えてきているわけです。ただ、同じ公立のホールでも、その規模の大小あるいは地域における特殊性、舞台機構の特殊性、それぞれに、千差万別、多岐にわたっているわけで、これをひとまとめにして、まとめるのは非常に難しい。それぞれの事情があるわけですから、ただそのなかで公約的な問題をとりあげて一応私なりに整理したことをお話しようと思うわけです。
第一番目の施設規模と条件の違い、これは500〜600の小屋から、1000〜2000規模の小屋まで、大きさによってちがうし、その目的主旨によっては、やはり機構も違っている。
最近の傾向としては、初期の頃、公共ホールが戦後荒廃の中から立ち上がってきた頃の考え方としては、以前のいわゆる"集会場"という基本的な発想を引っ張ってきました。それによって何でも使える小屋、つまり"多目的ホール"ということで造られてきたわけである。今でも、そのなごりがかなり強く残っています。
最近、諸外国の大型の催し物、来日公演が増えたり、我が国の公演団体のレベルアップに伴い"多目的ホール"ではやはり、不都合が多い。それで専門的劇場という発想がめばえてきました。それに対応するようにコンサートは、コンサートホールあるいは、オペラ、バレエに適した大劇場、あるいは演劇に適した中劇場、小劇場こういった仕分けで専門劇場化した建物が増えてきつつあります。これは、ごく一部ですが、こういったものに対応するには、今までの公立の施設の運営方式、そのままではあてはまらなくなってくる。やはりより専門的な高度な技術を要求されるようになってくる。そうかといって一方で市民参加型の会場にも提供しなくてはならない。そういうことを考えると、その技術の対象は非常に千差万別、幅広くその対応をせまられることになります。