講義概要
1. 認知負荷の低減(基本的な考え方)
大小様々な危険が存在している場合、いろいろなものが乱雑に存在している場合、それらに、注意する必要が生じ、認知負荷が増大する。また、作業の明るさが確保されていない場合も認知負荷が増大する。これは、ミスを招く可能性を拡大し、危険を回避する能力を減少させる。
重大災害を防ぐためには、小さな危険を減らすことが重要。
2. 照明家から見た明るさの問題
舞台でのスタッフの作業安全だけでなく、上演側の全てについて、明るさの面から、安全を確認する。分単位で異なった作業が展開する上演の現場では、時系列に従って作業をシミュレーションし、その作業明るさの管理について検討する必要がある。
○ 舞台の明るさ
搬入、吊り込み、調整、リハーサル、上演、ばらし、搬出、それぞれの段階での舞台の明るさの調整について検討する。
○ 舞台以外の作業空間の明るさ
綱元、投光室、調光室などの明るさのコントロール。
○ 通路の明るさの変化
楽屋から舞台までなど、明るさの異なる場所への移動に伴う明るさの変化のコントロール。
3. 安全管理の具体的チェックポイント(舞台照明に関して)
1) ホール管理側の安全対策
○ 設備や機械の安全
吊物装置
サスペンションバトンなど照明スタッフが利用する吊物装置の安全について
物理的安全―突起物など作業時の物理的な安全
電気的安全―漏電、接続部分の劣化など電気的な安全
制御上の安全―装置の安全思想と操作方法の安全
調光設備
客席調光など、舞台以外の明るさ制御について
○ 作業場所の安全
転落防止、落下防止のための安全管理
フライギャラリー、フライブリッジ、投光室、キャットウォークの危険性について
○ 安全な作業方法の確立
作業手順における管理側の関与
フェイルセーフ―利用側と管理側が重複して行う作業手順の安全確認
○ 安全な通路の確保
投光室への通路の安全―明るさの確保、サインの設置
○ 安全点検(機材管理)
照明器具のメンテナンスと機材リスト
○ 整理整頓
作業空間の確保―舞台袖は物置ではない