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次に、この劇場にはシーリング機構がありませんが、このフライダクトの部分にあるバトンがシーリングの役目をしています。フロントサイドが横から照射しているのに対してシーリングは正面から照射します。劇場を運営されていると必ず出てくる問題として、日本の舞台建築、劇場建築の中で[M点]という言葉が出てきます。今でも使われていますし、さまざまの劇場の設計図を見ますとM点という言葉が出てきます。この言葉何時頃から使われているのか、はっきりしたことは分りませんが、M点の定義というの舞台上の第1ボーダーライトの下です。舞台面から1mの高さと言われています。

この劇場ですと、このボーダーライトの下、この辺りの点。点ですから中心と考えた方がいいと思いますが、ここが一つのM点です。ここに対してシーリングの角度が何度であるか?ということが必ず計算されて、設計図に出てきます。M点という言葉を意識されたほうがいいと思います。大体、通常、劇場の設計でいいますと、1シーリング、2シーリングと2本のシーリングを持った場合は、1シーリングが45度、2シーリングが30度の基準で設計される事が多いようです。

1本しかない場合は、大体45度から30度の間におさまっているのが理想です。この照射角度が緩やかになればなるほど当てた光がホリゾント幕に漏れてくるという事が出てきまして、逆に角度が急であれば急なほど、人間の顔はこの様に、陰影が強くなります。このM点、欧米ではプラスターラインと言われています。一般的の定義はプロセニアムのラインの床面の中央、この点になっています。このプラスターラインに対して何度かと言う設計用語が使われています。照明機構の前明かりの部分に関してはフロントサイドスポット、シーリングスポット、その他公立文化施設にはなかなか無いと思いますが、さらに日本の古典芸能に必要な、1階席と2階席の間に照明機構をもっている場合があります、2階の階層の一番前、張り出している部分に照明を設置してある、バルコニースポットと言ってます。これは歌舞伎などの大きな屋台を組んだ時、欄間が張り出してきます、そうしますと、フロント、シーリングの角度でその部屋の中に光を投光出来ないので、このバルコニーの角度から入れてくる。商業劇場に必ずある機構、バルコニースポットという前明かりの機構が有ります。

次は舞台の上部です。後ほど、舞台に上がっていただき実際に触って頂きますが、舞台の上はサスペンション、"吊下げる"という意味のサスペンションライトがあります。

少し前までは、エリアライトというような言い方もされましたので、1サスペンション、2サスペンションと表記が綱元などで多いと思いますが、古い劇場などでは、1エリア、2エリアと言う使われ方がされている場合もあります。サスペンションライトです。

これも最近の日本の大きな劇場の傾向ですが、サスペンションライトがブリッジになっている場合も出てきました。サスペンションライトは基本的にフライダクトとバトンがあり機材が吊込んであって配線されていて、昇降されるシステムと言ってますが、人間がその上に上がりこむことが出来、橋になっている機構として照明ブリッジ、ライトブリッジという機構があります。その他に、タワーという機構が有ります。ステージのサイドの上、若しくは床からおいて上部に設定するような形でタワーライト。幾つかの劇場にはタワーライト機構を持っています。タワーライトは吊下げ式のものと床において使用するものと有ります。

 

 

 

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