2. 輸出入通関制度
対象国4カ国ともほぼ共通した通関プロセスを採用しており、突出した独自の制度はみられない。EUと比較するとまだ官僚主義的傾向は強く、利用者のニーズに応えようとする姿勢に欠ける模様である。しかし、そのなかでも利用者の評価では資本主義経済の浸透が進んでいる国(ポーランド、ハンガリー)の方が、そうでない国(チェコ、スロバキア)より税関の融通性に富んでおり、輸出入者の利便性を尊重する姿勢が強いといった評価が聞かれる。
(1) 輸出通関
輸出通関制度は存在しており、輸出前に税関への申告・許可が必要である。しかし、わが国のような厳密な保税搬入義務はなく、貨物と書類が揃えば申告が可能である。また、申告は税関から「許可」を得るための行為というよりは、日本人の目でみると「届け出」という感覚に近い。
(2) 輸入通関
各国とも事前申告制度は採用されておらず、保税地域搬入後のマニュアル申告制度となっている。コンピュータ申告も導入されつつあるが、その進展具合には各国間に差異がみられる。
また、荷主の事業所、倉庫、工場を保税地域に指定してもらい、通関を行うことはEU諸国に比較すれば難しい。