6. 移動前後での介護者の存在の変化
介護者全体としては、いずれの者も移動前後で大きな変化はみられなかったが、子供や親・兄弟などの血縁と、近所の人、友人・知人などの血縁以外で介護者の変化に違いがみられた。
血縁に関しては、転入者では、移動後に別居している子(子の家族)の中に介護者のいる割合が増加していた。また転入者、転出者では、移動前に介護者がいなかった者の中で移動後にいる者の割合が大きかった。これは転入者、転出者は血縁の近くに居住移動することによって、必要なときに彼らの介護を利用できる状況にあることを示している。
一方、血縁以外に関しては、いずれの者も移動後に介護者のいる者の割合が減少しており、その傾向は転入者と転出者で顕著であった。また転入者、転出者では、移動前に介護者がいた者の中で移動後にいない者の割合が大きかった。これは、特に転入者、転出者において、移動後の新しい地域において血縁以外のソーシャルネットワークを十分に構築できない高齢者が多いことを示している。