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江戸川区は人口約60万人の都市であり、その行政サービスとして、高齢者対策と子育て支援施策は区民の評価も高い自治体である。したがって、より良い福祉サービスを求めて、今後さらに活発化していくとみられる高齢者や子育て期の親の居住移動を調査分析するのに適した自治体と考えられる。

区内の都市構造をみても、区の北部は旧市街地として高齢化率が高く、南部は埋め立て地に集合住宅が並び、高齢化率が低く、子育て期の世代の多い地区となっており、区域が複合的に構成されている点が特徴である。

また、昨今の区人口の推移をみると、江戸川区は特別区で最も低い高齢化率、最も高い出生率を示しており、区の施策の充実との関連を分析することも非常に興味深いものである。

今回の江戸川区調査についてみると、高齢者では(1)移動者数の転入、転出、区内転居は1:1:2の割合である。(2)移動者の男女比は、2:3である。年齢別では、前期・後期の割合は3:2である。(3)移動者の有配偶と無配偶の割合はほぼ同じである。移動前後の同居者の構成の変化は、「本人と配偶者」が3割から2割に減少し、「本人のみ」や「本人と配偶者と子」の割合は各1割ずつで変わらない。(4)転居前後の居住形態は、転入では持ち家が減り、借家が増える。転出では持ち家が増え、借家が減る。区内転居では持ち家、借家は変化せず、高齢者施設等が増える。(5)移動理由としては、転入では「子どもと同居」、「福祉サービスが充実しているから」、転出では「住み良い家に住むため」、「子どもと同居」、「自然環境を求めて」、区内転居では「住み良い家に住むため」、「生活の利便性」が大きく挙げられている。

また、子育て期(0歳から小学校6年生までの子どもがいる)の居住移動した母親の居住移動実態としては、(1)対象者の8割が6歳までの子どもの母親である。(2)対象者のほとんどが親とは別居している。(3)対象者の半数が30歳代前半で、20歳代前半と30歳代後半を加えると、計8割を占める。(4)移動理由は「配偶者の仕事の都合」、「住宅事情」、「子育て環境」が多い。(5)転居時に江戸川区の保健・福祉サービスを半数が調べている。(6)半数以上が現住地に「住み続けたい」としている。

この調査研究は都市におけるものではあるが、言うまでもなく人口移動は都市内のみで起こるものではなく、都市間、都市と非都市部の間で起こるものである。その点からみると、広く全国の地域社会にとって極めて重大な意味をもつことは理解されよう。この調査は、すでに社会の実状に照らして、マスコミ等の社会的関心を集め始めている。がしかし、肝腎な地方自治体関係者等の認識は一般的に未だ高いとは言えない状況である。

 

エイジング総合研究センター「高齢者・子育て世代の移動実態調査研究委員会」

 

 

 

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