少子高齢社会におけるリビング・アレンジメント調査研究
江戸川区高齢者・子育て世代の移動実態調査報告
は じ め に
高齢化社会において、高齢人口の居住移動が増加するのは当然のことであろうが、高齢人口の移動者率が上昇傾向にあり、しかも加齢とともに上昇している現象は未だ日本社会では見たことのない現象でありました。
エイジング総合研究センターは、このような高齢人口の居住移動の実態を把握するため、高齢者の居住移動が顕在している大都市等自治体の協力を得て、実態調査とその研究分析を平成2年来行ってきております。
これまでの調査研究によると、高齢者の移動行為の主体者が高齢者自身である割合が年々上昇(この2、3年では6割強)しており、地域社会環境(行政サービスを含め)との関連が見られる、など、初期の都市への「呼び寄せ」形態などとは異なる移動形態が増加しています。したがって、調査内容も発展し、高齢者の生活環境ニーズや地域の保健・福祉サービス・ニーズが本調査結果からうかがうことも可能で、高齢社会における生活環境等多方面からの研究に役立つ調査データにもなりつつあります。
本年度の調査研究に当たっては、今後の少子高齢化社会の動向に鑑み、高齢者施策や子育て支援策を前向きに推進しているといわれる東京都江戸川区(人口60万人)を調査対象地区とし、区福祉部の協力を得て、この一年間に居住移動した高齢者3,000名、並びに子育て期女性1,000名(モデル調査)を対象者として、実態(郵送)調査したものです。本報告書はその調査結果とその分析をとりまとめたもので、広く関係者のご参考に供する次第です。
いまや本調査研究は生活環境や行政サービス等広い関係分野から着目されるようになって参りましたが、本調査研究について、当初から研究助成下されている日本財団に対し、改めて感謝申し上げます。
平成12年3月
社団法人エイジング総合研究センター
理事長 ?敲戸コ