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この17本の法律案というのは、中央省庁等改革推進本部事務局の努力の結晶ですが、ある言い方をすれば、彼らは非常に気の毒な立場にあります。というのは、橋本さんが会長をされた行革会議の最終報告、並びにそれに基づく基本法の下で今回の法律案をつくらなければいけない。白地に絵を描くように書くというわけにはいかないということです。行革会議最終報告と基本法を理解するだけでも大変な話であります。特に内閣官房、内閣府、それと各省、これらの関係について相当悪戦苦闘されたことが、法律案を見るとよくわかります。そういう制約の下で事務局が作業をせざるを得なかったということは、私は基本的に理解しているつもりです。

この法律案をめぐって多くの議論がございます。行革会議の集中審議の段階から相当議論があったことはご承知のとおりです。この『週刊東洋経済』に書いてある話というのは、実はこれ以外にもいろいろ問題はあるわけでありますが、随分捨象しております。まず、どういう点を削ったかという話をしておきたいと思います。

例えば、郵政事業の民営化問題です。私は、第二臨調(土光臨調)のときに三公社及び五現業の改革案を事務局の責任者として書きましたが、そのときから郵政事業をどうするかということは当然大議論となりました。あの時代に民営化について言及することは大変なことでしたが、臨調の第5次答申をご覧になればおわかりのように、はっきりと民営化のことまで言及しております。つまり、金融の自由化のめどがついた段階で民営化を検討すべきであるということをはっきり書いております。

この問題だけでなく、行革会議の中間報告並びに最終報告は、不満足といえば不満足ですし、その点について多くの批判がありました。そういう問題はここ(週刊東洋経済)では取り上げておりません。それは今回の法律案について事務局にいろいろ言ってもいかんともしがたい政治的な問題であるということです。ほかにもあります。公共事業関係、金融庁の問題、財金分離の問題等々いろいろございますが、そういう世上既に政治的な問題として明らかであるもの、法案自体の問題ではない問題は、一応ここでは外しておいたということをご了解いただきたいと思います。

ただ、この法律案17本が出た段階で、改めて行革会議の最終報告、あるいは中央省庁等改革基本法、これは去年の6月に成立したんですが、これらの持つ問題が今度の法律案を読んでいると、そのときから問題だと思っていたことが非常にはっきりしてきたということであります。

 

 

 

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