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日本に対する文化とか強い関心はありますし、よく知っています。しかし、日本の首相よりはアキラ・クロサワのほうが当然有名でしょうし、みんな知っている。そういった形で日本の総理大臣が誰が好ましいかという議論というのはほとんどされないです。そういった認識もないと思います。

J 何人かの、加藤さんとか森さんとかの名前が挙がっていますが、岸田さんからご覧になって、今後、日ロ関係を交渉していく上で、一番ふさわしい方というのは。

岸田 今小渕さんが再選されるとすると、日ロ関係についていえば、官房副長官の鈴木宗男さんという方、彼はバリバリのロシア通です。彼で全部動いているようなところがあって、彼が官房副長官で小渕派でいるという意味からいうと、小渕さんの再選は、これまでの路線継続につながるのではないかという感じがします。鈴木宗男さんというのは、官房副長官になる前の議員の時代からずっとロシアにパイプもありますし、一番積極的にロシアにやってきていろいろな人たちと会って、日本の考えを伝えてきている人です。北方4島周辺海域の漁業協定、先ほど紹介した協定を押し進めたのは彼です。彼自身も北海道出身の人ですが、そういった点からいうと、鈴木宗男さんがブレーンとして残っている小渕内閣は、日ロ関係については前進させる方向になるのではないかと思います。

K 1991年にソ連が崩壊して、CISという共同体が成立して、当初はロシアの影響力というのは非常に強かったと思います。そして、現在もう8年が経過し、中央アジアあるいはカフカスの諸国が独立国の体裁を成してきていまして、各国はCISというものに意義をもう感じていないんですけれども、ロシアのほうは今後CISというものをどういうふうに扱うか、あるいは将来的に関係をどういうふうに維持していくかを、どういうふうにみているのでしょうか。

岸田 CISの安全保障条約というのがありますが、グルジアなど3国は、それから抜けると正式に表明しています。CISの形骸化というのは間違いなくて、なぜこれだけ形骸化したのかというと、ロシアがCISの中でのリーダーシップを発揮できなくなった、そしてメリットがなくなってきているといったことで、どんどんCIS離れという動きが起きています。ロシア国内でもCISについてどの程度重視しているかというと、議論は分かれていますけれども、最近はCISの面倒ははそんなに見なくていいのではないかという人なども出始めています。いわゆるお荷物はおろして、欧米、日本と協力していこうではないかというような意見も、外務省から出始めています。

 

 

 

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