この新興財閥グループが、国有財産をどんどん乗っ取っていく。国有株式を安い金で買いたたいて、どんどんと新興財閥が国有財産を乗っ取っていくといったような、一説にはギャング資本主義といわれるような時代でありました。
それから、キリエンコ内閣は、その反省に立って、第一副首相で若手改革派のネムツォフ氏らがこの新興財閥の排除に乗り出した。ただ、御存知のように、ルーブルの切り下げなどで経済ががたがたになってしまって、経済の大破綻を来した時代でもあります。
1年弱首相を務めましたプリマコフ首相ですが、このときは、共産党出身でありますマスリュコフという第一副首相、それからクリークという農業党出身の副首相を起用するなど、下院との協調を重視したというのが特徴です。
それで、今回プリマコフ氏が解任されたことによって、どんどん新たな組閣が行われているわけですが、現在までのところ、アクショネンコという人が第一副首相、これが筆頭の第一副首相になる。それで、内務大臣にルシャイロという人がなっていますが、このアクショネンコ、ルシャイロというのは、ベレゾフスキー氏の息のかかった人物とみられています。
特に、今回おもしろいのは、ロシア国内ではこのプリマコフの解任というのはずっと春の初めぐらいから言われていて、独立新聞という新聞がありますが、そこに解任が発表される数日前の新聞に、1面のトップ見出しでアクショネンコ氏が首相だというような見出しが踊ったのです。この独立新聞というのは、ベレゾフスキー氏がかなり資本を入れていると言われている新聞でありまして、それで、実際、これはベレゾフスキーの人事といわれるぐらいの人事だと。ただ、実際はアクショネンコ氏が首相にならずに、ステパーシンという治安機関出身の人間が首相になった。これは、エリツィンがベレゾフスキーの影響力の強まるのを抑えてステパーシンを首相にしたのだろうと言われています。ただ、新たな組閣人事をみても、ベレゾフスキーの影響が出ているのは事実でありますし、今後もその新内閣において一定の影響力を行使するであろうと思われます。
それから、もう一人の第一副首相にザドルノフという大蔵大臣が起用されましたが、彼はもともとヤブロコという改革派野党の出身の人です。ステパーシン首相はジューコフという下院の予算委員長を推したのですが、最終的にはこれが受入れられずに、ザドルノフ氏が昇格した。