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しかし北朝鮮をモデルとすることが多かったのです。チャウチェスクはかなりクレージーであったということは確かであります。

ルーマニアやソ連のことを考えますと、情報が知れわたり、事実が明るみに出ると北朝鮮は崩壊する運命にあるでしょう。我々の聞いている話では、今でも飢餓に苦しんでいるというような人々もいるようです。私が共産国のルーマニアにいたときには、政府による完全な支配をみておりましたので、政府がまさか崩壊するというようなことを考えておりませんでした。しかし、米国の中央情報局(CIA)でさえも本当に誤算をしてしまった。ソ連のことに関しましてもほかの地域に関しましても、誤った分析をしていたのであります。まったく分かっていなかったのであります。私自身あのシステムが崩壊するとは思っておりませんでしたが、実際のところ非常に脆弱なものであったということが、結果として分かったのです。

実は、ルーマニアにいた当時のことですが、私にはシアトルで知り会ったルーマニア人の友人がおりました。ルーマニアでは彼と話す時、会話はすべて盗聴されておりましたので、彼は「本当のことは外に出てから話しましょう」と紙に書いて私に見せるのです。二人が部屋から外に出て話をするときに、私は、必ずしもそうするのを好ましく思っていなかったのですが、リベラルな雑誌であるタイムを彼に見せました。タイムの表紙にはソ連とアメリカの戦艦の写真が載っておりました。私は、ソ連の戦艦を見てものすごい脅威であると考えておりましたが、ルーマニア人の彼は「我々ルーマニア人はソ連の船をよく知っている。その船は手こぎボートのようなスピードしか出ないのです」と教えてくれました。

ですから恐らく北朝鮮もそうではないかと思います。第三世界の国であり、道路もなければ、食べるものもなく、トイレットペーパーもないけれども、ミサイルだけはあるという国です。その北朝鮮が崩壊するというのは時間の問題であります。そして、それを早めるために何ができるかということは分かりませんが。

吉原 それでは、これでセミナーを終わらせていただきます。このあとフロアーに出ていただくことになっておりますので、どうかファンダーバーグ夫妻と懇親を深めていただきたいと思います。本当に今日はどうもありがとうございました。(拍手)

[文責事務局]

 

 

 

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