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司会者 労働経済学の権威が人員整理ができないと(笑)…。

A 僕は常にやろうと思っているんですよ。労働政策が根本的にマーケットに対応する労働政策ではないのです。終身雇用を支える労働政策なんですね。これを根本的に変えないと、金融は変わらないだろうと思います。

司会者 何かコメントありますか。

小原 私も全くそう思います。大体銀行の方にお会いすると同じことをおっしゃいますし、実際私が経営者の立場だったとしてもやはり同じだと思いますね。ただ、そうは言っても、じゃあそれに代替するような、例えばもう少し思い切ったリストラができるような、そういう労働市場の流動化が起こったときのことを見据えて、内部的に改革していくというようなことができるのではないかということが1つと、あと、例えばこれは名前を出してもいいと思うのですが、東海銀行とあさひ銀行が合併というか、金融持ち株会社を通じて実質合併に向けて動き出したということがあります。

その例をとってもマーケットは非常に興奮したわけです。やっとスーパーリージョナルができると。しかしその後、やはりどっちがリーダーシップをとるべきかとか、あるいは店舗の削減や業務展開における戦略の違いなどで、ほとんど進んでいないような状況が推測されるのです。

これは1つの甘えだと思います。せっかくいいパートナーを見つけて、先んじた行動をしているのですから、問題を先送りせず、対処することが重要です。要するに、全体的に言えるのは、人を切るか切らないかではなくて、覚悟とスピードだと思うんですね。

皆さんいつもおっしゃることですが、覚悟を決めて、そして決めたことをすぐにスピーディーに実行する。そのためにどうしたらいいのかを考える。あとはできるなかでやればいいのだと思います。そういった感覚が、銀行を取材していても全く出てこない。

もう1つだけ。IR活動をやれば株価が上がると思っている銀行があまりにも多すぎるんですね。(笑) 最初に住友銀行が始めたことで、住友銀行の場合、ある種のコンセプトがあり、それと連動して西川さんのリーダーシップなどが重なってIR活動の効果が上がっていったのだと思います。

 

 

 

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