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先ほど申し上げましたように、資本収支のところではかなりロール・オーバーというところを気にした。気にして一生懸命考えたんだけれども、やっぱりタイも失敗したし、インドネシアも失敗したし、韓国も失敗して、それでギリギリのところまでいって、通常じゃない手段を使ってなんとか切り抜けたわけです。その一般的なプログラムとそれからアジア向けのプログラムとそれでも失敗したという、その3段階的な話にしていただかないと、このプログラムというのはいかにも一般的なプログラムで、いかにも一般的なプログラムをアジアに適用して失敗したかのような印象を受けるのですが、その間にもうワンステップあると思うんですね。

それからあと2番目に危機管理の話と、これはもう危機が起きてしまって、これから3カ月の間にどうやってロール・オーバーを高めて、外貨準備がゼロにならないようにするかという話と、もうちょっと中長期の話と、もう少し整理できるのではないかというところが感想です。これは全般に言えるかと思うんですけれども、細かい話はしませんが、危機管理の話と中長期の話はちょっと区別したほうがいいんじゃないかと思います。

それから3番目にアジアの話をするときに、確かにアジアの3つの国の、これは本の中ではもう少し整理されているのかもしれませんけれども、3つの国の共通点と相違点というのは、共通点もいっぱいあるけれども相違点もいっぱいあると思うんですね。その点を3カ国全部ひっくるめて議論されると、いやこの国は違うと言い出す方がおおぜいいらっしゃると思うので、そのへんは少し最初から防御線を張っておいて、韓国は違いますと言っておいたほうがいいのではないかと思います。

韓国は財政経済省に大変優れた人が揃っていて、重箱の隅をつついたような話ですけれども、韓国が危機に陥った理由とタイが危機に陥った理由というのはかなり違うと私は思うし、IMFがそれに対して準備ができていた度合いも、タイの場合にはすでに18カ月前から我々は警告していた。IMFも満を持してタイに乗り込んでいったけれどもそれでも失敗したと思うのです。十分プログラムに時間をかけて、7月に切り下げて8月にプログラムに取り掛かると、十分な時間がないのではないかというけれど、実はもう前からミッションがずっと入っているわけですよね。だからそういう意味ではタイに関しては十分IMFは準備していて満を持して乗り込んでいった。しかし、韓国に関してはほとんど準備はなかったわけですよね。だからそこはかなり重要な点で、大きく違いがあるし、その3カ国に関しては、アジアを論じるときには共通点を挙げるのは非常に重要なのですけれども、それと同時に相違点を挙げられるということが非常に重要じゃないかなと、その3点です。

 

 

 

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