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司会者 ご経歴をご覧いただくとお分かりだと思いますが、まさに非常に若い人材でありまして、慶應大学で修士過程を修了されたあと、コロンビア大学に行かれて、同大学のバグアティ教授のもとで経済学博士号(Ph.D.)を取得されました。それから、93年から98年までIMFのエコノミストとして、実際にIMFのなかで活躍されてきたわけです。

今日はその成果をご披露いただくわけですが、この4月末に『検証 IMF経済政策〜東アジア危機をこえて〜』という本を出されますので、今日はそのイントロダクションをかねて、まとまった話をしていただければと思います。本日は、いつにもまして日本の政策論壇を担われるそうそうたる方々においでいただいておりますので、できるだけ手短に、40分か45分ぐらいでお話をいただいて、そのあとご論議をお願いしたいと思います。

白井さんよろしくお願いいたします。

 

2. 講師報告

 

白井 白井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今先生からお話いただきましたように、『検証 IMF経済政策』というタイトルで、4月末に東洋経済新報社から本を出版する予定です。この本は3部構成となっておりまして、まず簡単に内容を説明したいと思いますが、その前に、どうして私がこのような本を書く動機をもったかということを簡単にお話したいと思います。私は5年間IMFに勤めておりましたが、その間にいろいろな国を担当する機会を得ました。IMFの加盟国というのは、大きく分けますと、いわゆるサーベイランス・カントリーとプログラム・カントリーに分けることができます。サーベイランス・カントリーは日本などを含めまして比較的豊かな国で、IMFに支援を頼まなくても、独力で経済を運営できる国です。これに対して、プログラム・カントリーというのは、比較的低所得国で、IMFから支援を受けなければ、外からお金を借りることができないような国となっています。

また、プログラム・カントリーは、IMFの支援を受ける際に、同時にコンディショナリティー(融資条件)としてIMFと協議のうえに作成された経済政策プログラムを採用しています。最初のうち私はこのサーベイランス・カントリーというのを担当しておりましたが、その後上司のほうから「IMFの経済政策のアプローチというものを本当に知りたいならばプログラム・カントリーの仕事をした方がよい」との助言を受けまして、2年ほど前からプログラム・カントリーの仕事に移りました。

 

 

 

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