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貸切バスの活性化に向けた動き

従来、貸切バスは主として団体観光客や学生団体の輸送に利用されてきたが、近年、「道路運送法」第21条の規定に基づく過疎地での旅客輸送や、イベント開催時の会場と最寄り駅間での輸送などに活動の場を広げている。しかし、観光旅行における小グループ化、マイカー利用者の増加に伴い、貸切バスの利用者数は停滞、減少気味である。そのため、各業者はマイクロバスの導入や営業活動の一層の強化により利用客の増加に努めている。このような状況の中で、運輸省も、需給調整基準の弾力化や割引運賃の導入、事業区域の拡大、最低保有車両数の緩和など各種規制緩和を通じて、事業者の負担軽減と自主的努力の促進、利用者の利便向上を計っている。

 

生活路線の維持

運輸省は、1972年以来、利用者が激減し乗合バス事業者による維持が困難になった路線のうち地域生活に不可欠な路線について、運行に対する補助金を出してきた。この制度が1995年に期限切れを迎えることから、「地方バス路線運行維持対策基本問題検討懇談会」を設置し、その報告に基づいて新たな補助制度を開始した。そこでは、路線バス事業の集約と合理化を進めさせる一方で、集約状態と平均乗車密度に応じて地域と路線を区分し、維持主体と補助金額を決定している。平均乗車密度が5人以上の路線では事業者による維持が前提とされ事業者の創意工夫が求められるのに対し、5人未満の路線は自治体による代替バスの運行が前提とされ、移行の円滑化がはかられるものとされている。

 

 

 

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