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09 道路

 

道路渋滞対策

道路交通需要の大幅な伸びや非効率な自動車利用によって道路交通渋滞は深刻化しており、建設省によれば、全国で年間に発生する渋滞による損失は約12兆円、国民1人当たり年間約42時間と推定されている。また、道路交通渋滞は、環境問題、経済効率の低下を引き起こしている。道路渋滞対策は建設省を中心として行われている。建設省の第11次道路整備五箇年計画(1993〜1997年度)では、新渋滞対策プログラムが策定され、全国で約600箇所の主要渋滞ポイントの解消が達成されたとされている。さらに、1998年度から第12次道路整備五箇年計画では、1998〜2002年度を計画期間とする第3次渋滞対策プログラムが策定された。具体的には、交通容量の拡大を目的としたバイパス・環状道路等体系的な道路ネットワークの整備、交差点改良や立体化によるボトルネック解消を行うとともに、交通運用の改善として情報サービスや交通管制の高度化等既存道路の有効利用を図るほか、パークアンドライドやフレックスタイム、相乗り促進等道路利用する需要サイドに対して利用の仕方の工夫を求める交通需要マネジメント施策が行われることになっている。

 

交通需要マネージメント

交通需要マネジメント(TDM:Transportation Demand Management)は、道路の需要者である利用者の選択行動を変化させることによって、渋滞、大気汚染等の道路交通問題を軽減する施策である。大都市のように、交通容量の拡大が容易に行えないケースでは、利用者の交通ニ一ズを尊重しながら自動車交通の円滑化を図る必要があり、この目的を達成する手段がTDMである。TDMは、主としてアメリカにおいて導入された施策であり、同国では、高利用車両(HOV:High Occupancy Vehicl)の優先レーン、カープール・バンプール等の相乗りの推奨等が中心である。これに対しわが国の場合、地理的状況からHOVレーン等の新設・設置には限界があり、パークアンドライドの実施、企業シャトルバスの導入、フレックスタイム・時差出勤の導入、公共交通機関利用促進、物流対策等が中心である。建設省の渋滞対策プログラムにおいては、1994年度以来全国13の都市が指定され、総合渋滞対策支援モデル事業の一環としてTDMが実施されている。

 

 

 

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