日本財団 図書館


便宜置籍船

便宜置籍船とは、外国船舶の置籍を促すために特別の利得を与える国(便宜国と呼ぶ)に置籍された船舶を指す。この便宜国には、パナマやリベリアなどが挙げられる。これらの国は、次のような共通した性格を持つ。すなわち、(1)外国人の船舶の所有を承認していること、(2)小国で政治的に安定していること、(3)税金が安いこと、(4)配乗の自由を承認していることなどである。日本船籍の船舶に関しては、船員の配乗などに制限が加えられている。そのため、日本船籍の船舶を所有することに関連して発生する船舶経費(とりわけ船員費)は高い。従って、日本船籍は減少傾向にある。現在、我が国商船隊の船腹量全体で日本船籍が占める割合は4分の1にも満たない。

 

近代化船

現在、我が国の外航海運は、円高などの影響で日本人船員は国際競争力を失いつつある。それに伴なって、日本船主の便宜置籍化が進行し、日本船籍、及び日本人船員が減少傾向にある。そこで政府は、日本人船員の職域確保と技術革新の進展への対応を目的として、近代化船制度を設けている。この近代化船とは、船舶の設備を向上させ、乗組員を少数化した船舶である。1993年には、日本人船員11名という世界で最も少数精鋭化された近代化船(第4種近代化船)が実現した。一方で、最近では、「混乗近代化船」も実現している・これは、近代化船制度にマルシップ方式による外国人船員の混乗制度を組み合わせたものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION