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06 外航海運

 

海運自由の原則

国際間の海上輸送では、原則として、各国家が経済上の規制や保護を行わず、各国の海運企業が自由に経済活動を行うことが求められる。これは、「海運自由の原則」と呼ばれる。また、この自由を確保するために、具体的に以下のような条約が各国間で結ばれている。第一に、各国の船舶は積み荷を積んで互いにどこの国でも自由に出入りできること、第二に、各国の船舶は、どこの国の港でも自由に停泊、貨物の積み込み、陸揚げについて同じような待遇を受けること、そして第三に入港税、水先案内料、灯台料、検定料に不当な差別しないことなどである。しかし実際には、船舶の船籍によってその待遇を差別するような、「国旗差別措置」と呼ばれる政策も一方で存在する。

 

海運同盟

海運同盟は一種の国際的な海運企業間のカルテルである。これは運賃協定や配船協定など同盟内の企業で需給を調整する一方で、運賃延べ戻し制や二重運賃制によって荷主を拘束することで同盟外の競争を抑制してきた。しかし近年は、コンテナ化の進展、途上国の海運企業の成長、および米国新海運法の成立によって海運同盟の弱体化が進んでいる。海運同盟については二つの立場の間で議論がなされている。一つは、アメリカのように原則的に禁止し、カルテルを政府の規制下に置くべきとする立場であり、もう一つは、日本やECのように基本的には海運企業の自主規制に委ね、政府は問題が生じたときにのみ介入すべきとする立場である。

 

 

 

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