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新規発着枠の配分基準

日本においては、混雑している空港は第一種空港(国際空港)であり、国(運輸大臣)が設置者および管理者になっている。空港発着枠(スロット)が不足している空港は具体的には羽田空港と成田空港である。したがって、混雑空港の発着枠の配分は国の方針に基づいて行われることになる。航空業への参入が緩和される前は、いわゆる大手3社のみの体制であったため、この大手3社と運輸省との交渉事としてスロットの配分がなされてきた。1997年3月の羽田空港新C滑走路の供用は航空会社にとって利益の上がるスロット枠を一気に増加させることとなった。このため、運輸省は学識経験者等を含めた委員会を設置し、配分ルールを設定した。この決定されて適用された配分ルールは、既存業者の既得権の保護と新規参入航空会社への配慮をともに勘案したものとなった。現在、運輸省は既得権部分を含めてスロットの再配分のためのルール設定に着手している。

 

関西国際空港株式会社

関西国際空港(関空)は、日本初の本格的24時間空港であり、海上空港であるという特徴とともに、株式会社によって運営されている点が特記されるべきである。空港整備法の規定によれば、国際空港は国によって設置、管理されなければならない。新東京国際空港(成田空港)は公団によって運営されており、空港整備法の規定の初めての例外である。しかし、成田公団への出資者は国のみであり、従来の方針を大きく変えたわけではない。一方、関空の建設には、株式会社方式が採用され、国とともに、地方自治体および民間会社も出資を行っている。1本の滑走路とターミナルからなる関空の第一期事業の資金調達は、総建設費用の20%を国が、5%ずつを地元自治体と民間企業が出資することによってなされた。つまり、国、地元自治体、地元民間企業が合わせて30%の無利子資金を提供し、残りの70%を有利子で調達したのである。

 

 

 

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