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瀬戸内の海からカキ養殖の発泡スチロールがゼロになる日はもっともっと何年も先かもしれません。でも、本当に小さな一歩ですが、データを取っていたおかげでこういう前進がありました。

このほかにも私たち事務局としては、もっとも多いアイテムである煙草のフィルターの問題について、タバコメーカーに足を運んで、マナー向上キャンペーンのときにフィルターが化学繊維であることをもっと宣伝してほしい。そうすることによって、愛煙家の方のぽい捨てが減るかもしれない、捨てないようにしようというだけではなく、腐りにくいゴミだということをぜひアピールしてほしいと言いました。

それから、最近少しずつ普及してきましたけれど、携帯用の吸い殻入れをもっと持ちたくなるようなすてきなデザインのものをつくってほしい。いまあるものはあまり格好よくないんです。持ち歩く小物として、ちょっとぐらいお金を払っても、格好いいものなら持とうと思う人はきっと増えると思います。そういうお願いをしたりしています。

ゴミのことというのは、問題を明らかにし、そこから先解決するまでにとても長い時間がかかります。私も事務局をつくって活動してもう10年になりますが、10年経ってやっと次の方向性が見えてきた。もちろんいままでやってきたような拾って調べるゴミ拾いがベースになりますので、それはこれからもずっと続けていくつもりですが、企業の方との対話とか、一緒に話し合う場をつくるということがやっとできてきました。これから本当に拾わなくてもいい、拾うことの次に来るアクションに向けて、皆で知恵を絞り合っている状況です。

今年のキャンペーンは9月から10月にかけてで、もう一段落してしまったのですが、来年はまた春と秋に全国で行いますので、どこでもどなたでもご参加いただけます。ご興味がありましたら、ぜひご一報ください。東京近郊では神奈川県が一番会場が多いのですが、東京湾では三番瀬の方たちもやってくださっていますし、先週は横須賀のほうでも活動があって、私も参加してきました。一人でゴミを拾っていたときは、私一人がこんな袋に1杯、2杯拾っても何の変化があるのだろうと、非常に空しい感じというか、自己満足的なジレンマがすごくあったんです。でも数字を皆で合わせることによって、それがきちんとした大きな声になっていきます。それと、日本にいながらにして自分のやったことが世界の仲間と共有できる。このことがふだんやっていて一番励みになることです。

来年は6年ぶりぐらいにアメリカのセンターからも人を招いて、シンポジウムなども行いたいと考えています。ご興味がありましたら、連絡先を教えてくだされば、そういった催しのあるときはご案内を差し上げています。

 

 

 

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