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江戸川河口域も本来は堰を定期的に開けなければだめなんです。最大雨量のときだけ開けて、普段は閉めておくというのは環境を激変させます。常に徐々なる変化をさせておかないと、生物は順応できません。

もう一つ皆さんにお願いしたいのは、やはり山を大事にするということです。地下水を復活させないと、川が死にます。なぜかというと、このくそ暑い夏に水温が高過ぎる。地下水は15℃前後ですから。海岸線もそうですが、この間まで皆わき水で出ていたんです。そうすると生き物が真夏でも残ります。

それから、直線のところを本当は蛇行させられるなら蛇行したほうがいい。水がドッと流れてきてもその陰に生き物が残る。ところが、いまは直線ですから川の生物が少ない。

なぜ東京湾が、川がよくなればいいか。東京湾自体が川なんです。河口湾です。大小50近い川が流れ込んでいる。

最後になりますが、アメリカでは1965年には海岸から100フィート、30メートルだけ、埋め立てや汚染を一括管理するとしました。30メートルというのはたいした距離ではありません。ところが、チェサピーク湾になると、そこはメリーランド州、ペンシルバニア州、バージニア州、ワシントンD.C.と、ちょうど東京湾と同じで別々の行政が囲っています。

そこで決めたのは、川の分水嶺、山のてっぺんまで網をかけて、そこまできちんとやっていこうという法律です。だから、本当は東京湾を守るのに埼玉の人にも全部協力してもらわなければいけないということです。

司会 ということで、大野さんにはこれからまだまだ干潟の大切さ、自然の大切さを皆さんに訴えていっていただきたいと思います。われわれもできることから自然を守っていきたいと思います。

大野さん、本日はどうもありがとうございました。皆様、どうぞ大野さんに拍手をお送りください。ありがとうございました。

大野 どうもありがとうございました。(拍手)

司会 最後に、船の科学館ではあと2回、「海と船の環境を考える」ということで講演会を予定しております。また新聞等で発表もございますし、今日お持ちの資料を持って帰られて、申し込んでいただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

 

 

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