船の旅の話ですが、レジュメにも環境のことを書いておきましたので、時間がありますのでそのお話もしたいと思います。いまの客船、新しくできる客船、“飛鳥”がほぼ10年前にできた客船ですが、客船に限らず、いまそこらへんを走っている新造の大型船は、いまは環境に対する規制が非常に厳しくなっています。
むやみやたらにモノを海に捨てる時代ではなくなっています。国際的なルールの海洋汚染防止条約で、陸上から3マイル以内はほとんどものが捨てられません。絶対どこまで行っても捨てられないのがプラスチックです。そのように非常に厳しくルールができています。日本もできていますし、世界各国できています。
ですから船は常に自分のいるポジションを調べながら、捨てられるゴミ、捨てられないゴミを確実にチェックしながら捨てています。たとえば皆様の家庭の生ゴミですが、これはグラインダーにかけて粉々にしないと海には捨てられません。海に捨てられるエリアも限定されます。ゴミの海上投棄のルールは乗組員に終始徹底しています。ガラスなど、ワインの瓶やウィスキーの瓶などは完全にグラインダーにかけて砂状態にしないと捨てられないことになっています。
“飛鳥”の場合はほとんど海上へ捨てません。ほとんどと言うか、全部焼却します。プラスチックの場合はもちろん陸揚げしますが、プラスチックの場合には焼却した灰も陸揚げします。海に捨てないようにしています。
上下水で、まず下水のほうですが、トイレは飛行機のトイレと一緒です。バキューム、真空状態でスッと各部屋から一つのタンクに集めます。なぜ真空状態を使うかと言うと、これがいちばん水の使用量が少ないです。一つのタンクにまとめてそれをバクテリアで分解して水状態にしてきれいな水にして、水を捨てるというスタイルをとっています。
上水、飲み水のほうは港で必ず補水をします。だいたい“飛鳥”の場合にタンクの中に2000トン取れます。ただ“飛鳥”が満員になって、お客様がごく普通に水を使いますと1日500トンの水を使います。500トンというのはすごいです。ただ500トン使うと2000トンのタンクですから4日間しかもたないです。