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4-2. 個人の労働に課される直接税

 

個人の労働所得に課される直接税は、国所得税と地方所得税、および1993年に導入された被雇用者負担の社会保険料がある。

1991年の税制改革によって、国所得税は就労所得に対して一律に課されることになった。ただし課税対象は一定収入以上の者に限られ、それ以外の者は200クローナのみを負担している。(1996年までは100クローナ)したがって、ほとんどの者は200クローナのみを負担しており、事実上国所得税を支払っていないに等しい。1996年に国所得税の課税対象となったのは、全就労所得者の16パーセントであった。(文献3])

表は、各年の課税対象所得の下限を示している。課税対象所得の下限は、物価調整されるため、毎年引き上げられている。税率は1991年から94年が20パーセント、95年から98年が25パーセントであった。1999年から課税対象所得の下限は2段階方式が採用され、245,000クローナ以上の就労所得に対し20パーセント、389,000クローナ以上の就労所得にはさらに5パーセント追加課税される。

地方(所得)税は、は地方自治体の主たる財源となっている。地方税は所得に対し一律比率で課される。地方自治体(県、市、および教会コミューン)は、それぞれ地方税の税率を決定することができる。したがって、地方税率は自治体により異なる。1998年に地方税率(県、市、教会コミューンの合計)が最も低かったのは、テービィ市(テービィ教区、ストックホルム県)の26.51パーセント、最も高かったのはヘルネサンズ市(スティグショー教区、ヴェステルノーランド県)の34.75パーセントであった。その差は、8.24パーセントであった。(文献3])

各市別の所得税率を表記する場合、県と市の地方税率と当該市内教区の平均税率の合計で表すが、全国288の市のうち、合計地方税率が30パーセント以下の市は17であった。また合計地方税率が33.5パーセント以上の市は34であった。(文献3])

自治体の課税所得はかなりのバラツキがある。税収力(住民一人当たりの課税所得)は自治体の財政基盤を知る目安になる。全国平均の税収力を100とした場合の各市の税収力は、ストックホルム県のダンデリード市が最高で172パーセント、東海岸の島ボーリィホルム市が73パーセントであった。こうした税収力のバラツキを平等化する制度・平等化制度については、前述を参照されたい。なお、地方税率はそれぞれの地方議会で決定され、その運用についても自治体が決定し運用するが、徴税業務は国の機関である税務署によって行われている。

社会保険料は主として雇用者負担であったが、1993年から健康保険に関する被雇用者負担金が、1995年から付加年金(ATP)に関する被雇用者負担金が課されている。

保険料率は、所得に対する比率で表示される。1998年の被雇用者負担金の保険料率は、ブルーカラー、ホワイトカラーともに6.95パーセントであった。(文献15])

 

 

 

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