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3-4. 1970年代−夫婦個別課税制度の導入−

 

1970年代は、さらに、間接税への移行が進んだ。1971年には近代税制史上、重要な改革が行われた。所得税が夫婦合算形式から夫婦個別課税制度へと移行したのである。国所得税の課税対象額が引き上げられ、既婚、未婚に関わりなく同一の課税方法が用いられた。この改革を遂行するために一般間接税は、10パーセントから15パーセントに引き上げられた。

直接税制度の改革は、被雇用者が支払う社会保険料の引き上げも必要とした。祉会保険料は、主に年金や疾病保険や失業保険の財源となっているが、1970年には給与の14パーセントであった社会保険料は、80年には35パーセントにまで上昇した。なお、一般消費税は77年には20パーセントになった。

 

3-5. 1980・90年代−公共歳入の増加と世紀の税制改革−

 

1980年代を通じて、税および社会保険料による公共団体の歳入は上昇の一途をたどった。80年代後半には、公共団体の歳入はGDPの約56パーセントにまで達した。一般間接税は、80年には23パーセントにまで引き上げられた。

1980年代の税制は、複雑、不明瞭であると批判され、新しい税制が議論されるようになった。こうして、90年に世紀の税制改革と呼ばれる大改革が行われた。この改革によって、国所得税は大幅に引き下げられ、また一部間接税も引き下げられた。国所得税は、所得が20万9,100クローナ以下の場合は非課税になった。したがって、ほとんどの人が国所得税を支払わないようになった。また、課税対象所得に関しても、一律25パーセントの課税となった。(以上は96年の制度、詳しくは後述国所得税の項参照。)

また、90年には25パーセントにまで引き上げられた一般間接税は、92年には食糧に関してのみ18パーセントに引き下げられ、翌年再び21パーセントに引き上げられた。96年にはEU加盟後の調整の必要性から、その他の一般間接税は25パーセントに維持しつつ、食糧に関する一般間接税のみ12パーセントに引き下げられた。さらに、93年から被雇用者負担の社会保険料が課されるようになり、労働に課される税金が増加する傾向にある。

90年の税制改革は、ある意味で今後の国際化に備える改革であったと言えよう。EU加盟に伴い、国境を越えた人と物の流動がますます活発になってきている。こうした国際化に耐えうるシステムを生み出すことが、今後の税制の問題点であろう。

 

 

 

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