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1) フランスでは1999年春に国勢調査が行われた。年齢グループ別人口など細目に関する統計は未だ発表されていないが、フランス本土の総人口は5,842万人、海外県を含めたフランスの総人口は6,019万人となっている。前回の国勢調査(1990年)と比較すると、本土人口は約190万人増加した。

2) 1996年には結婚数が前年に比べて10%も増加した。これは前年に非婚カップルに対する税制が改正されたために(非婚カップルは独身二人の共同生活と見なされなくなり、子どもの扶養に関しての優遇措置が排除された)、子どもを持つ非婚カップル(特に高額所得カップル)が結婚に踏み切ったケースがあったことに原因があると考えられる。しかし1997年の増加は少ないことから(前年比1.4%増)、結婚数の急増は一時的であったとみるべきであろう【図表5参照】。

3) フランスは欧州連合加盟諸国の中で、デンマークに次いで非婚カップルの割合が高い国となっている。

4) 最近では、県の区分より広い「ペイ(里)」と呼ばれる行政区分をつくる構想が進められている。1995年に始まったこの計画では、すでに106のペイ区分ができ、58のペイが形成過程にある。政府は、1999年末には200の区分はできるであろうとみているが、十分な考慮をしたうえでペイ(地方)構想をするために、早急な計画実行は予定していない。

5) 市町村福祉事業センター(ないし市町村連合福祉事業センター)がない町村では市町村役場が代行する。

6) 1901年協会法は、ボランティアが非営利目的で創設する協会(association)を支援するための法律である。協会創設者は報酬や利益配分を受けることはできず、協会は収入と支出を同金額にして利益を計上することができない。しかし協会が雇用する従業員には給与を支払える。福祉関係協会には、行政が補助金を支給している場合が多い。

7) 老人ホームとして存在していた「オスピス」は、徐々に消滅するか、他の高齢者施設にすること(施設は建築上の変更と、高齢者の人格が守られるような施設にすることが必要)が1975年に法律で定められた。現在ではオスピスは皆無に等しい。

8) 1997年の社会保護総支出は29,152億フランとも言われる。この場合の直接給付支出の割合は83%である。

9) 例えば公務員が加入する制度では、一般的には老齢年金の支給額は、退職直前の6カ月間の給与(特別手当を除く)を基にして計算される。企業で働く者と同様に、支給金額は保険加入期間の長さによって異なる。保険料は年俸の2%に相当する。保険加入期間は最高37.5年間が限度とされ、支給される老齢年金の支給額は就業中の給与の75%を越えないことになっている。

10) 企業で働く者の補足年金制度は5つ存在するが、その中で最も主要な制度は、管理職年金制度協会(AGIRC)と、非管理職者が加入する補充退職年金制度協会(ARRCO)である。ともに65歳を年金支給開始時期としているが、60歳からでも一定の減額率に応じた年金が支給される。

11) 「老齢被雇用者手当(AVTS)」は、働いていたにも係わらず社会保険に加入していなかった者が、50歳になった時点で最低15年就業していた(あるいは退職前に25年以上働いた)場合に支給される。これは年金制度を導入するための経過措置として1941年に創設されたもので、今日では全ての就業者が老齢年金制度に加入しているために、同手当の受給者はほとんどいない。

12) 保険加入者に対する割増年金としては、母親手当(allocation aux meres de famille)、遺族年金(pensions de reversion)、寡婦(夫)年金(pensions de veuvage)、終身救済手当(secours viager)がある。

13) ただし、これは高齢者が所有する不動産収入が就業者の不動産収入より高かったことも要因となっている。ちなみに退職者の収入の4分の1は不動産収入によるものであるが、就業者の場合には10分の1に過ぎない。

14) 26ページ参照。

15) 在宅維持の要介護高齢者がどのようなケアを受けているかは、第5章「フランスにおける要介護高齢者の実態」で詳しく紹介する。

16) フランスの別荘所有率は高く、全世帯の13%が副住居を所有している(1997年)。

17) 在宅維持者に関してはEnquete Services de proximite,Insee,1996、施設入所者に関してはEnquete aupres des etablissements hebergeant des personnes agees,Sesi,1994。

18) 2人以上の子どもを扶養する世帯に所得制限なしで支給される手当で、3子目からは割増手当がある。

19) 家族のために支給される手当のどれを持って家族給付と見なすかは曖昧であるため、フランスの家族給付の数は21種類であるとも、それ以上あるとも言われる。

20) 例えばコート・ドール県では、介護給付の平均支給額は1ヶ月3,700フランである(1998年)。

 

 

 

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