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「国家と自治体」と答えた者は28%、「社会保障」と答えた者は22%あった。高齢の親の世話を必要とするようになった時には、子どもが世話すべきだと考えた者は72%にもなる。しかしフランス人のメンタリティーは変化している。1999年に行われたEPSYアンケート調査では、介護支出を負うのは、「国家」であるべきだと回答した人が58.5%を占め、「家族」が35.3%、「民間保険会社」が31.1%となっている。

 

図表40:年金受給者1人に対する保険料拠出者の人数推定

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(3) 介護給付(PSD)

 

他者の援助を得なければ日常生活ができない障害を持つ高齢者に、どのような手当を支給するかに関して、フランスでは10年ほど前から議論や研究がなされていた。資金問題で実施は難航し、ようやく1997年から「第三者補償手当(AC)」に代わる「介護給付(PSD)」が給付されるようになった。第三者補償手当(AC)は、成人障害者のために1975年に創設された社会扶助であるが、過半数の受給者は65歳以上の要介護高齢者(約19万人)となっていた。介護給付(PSD)は、第三者補償手当(AC)よりも高齢者を対象とするに相応しい手当となるべく創設された給付であり、将来は「自立給付」として確立されることになっている。

介護給付(PSD)と第三者補償手当(AC)の支給額および受給条件となる所得上限を比較してみよう。

介護給付(PSD)では、在宅維持者に対する最高支給額(1998年)は月6,066フラン(カップル生活者は月10,110フラン)、施設入所者に対する支給額は2,600から670フラン(1997年)となっている20)。第三者補償手当(AC)は、1カ月当たりの支給額は最高4,526.49フラン、最低2,263.24フランである(1998年)。この二つの給付を比較すると、介護給付(PSD)は最高支給額では上回るが、最低支給額では下回っていることになる。支給対象となるための所得上限制限については、介護給付(PSD)は、給付金を含めた所得が、単身生活者は11,724フラン、カップル生活者は15,768フランである。第三者補償手当(AC)は、手当を含めた所得が7,797フラン(子どもがいない単身者の場合)となっている。

 

 

 

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