ただし受給の条件として、1]社会保障制度に10年以上加入していたこと、2]解雇された会社が国家と雇用全国基金と協約を結んでいること、3]解雇された会社に6カ月以上勤務していたことなどがある。また完全解雇ではなく、フルタイムの就業から勤務時間を短縮した就業にさせられた者も、段階的早期退職として、受給条件付きで補充収入を受ける道が開かれている。
3]一般制度の年金支給方法
老齢年金の支給率は、支給開始年齢ではなく被保険者期間によって計算され、被保険者期間が短い場合には減額年金が支給される。支給最高額の満額年金を受給するためには必要な保険加入期間が定められているが、これも制度によって異なる9)。
最も保険加入者数が多い「一般制度」の基本年金では、1993年に、年金支給計算方法において2つの点の改革がなされた。すなわち従来は、給与金額が最も高かった過去の10年間をもとにして年金額が計算されていたが、将来は過去の最も給与金額が高かった25年間の給与をもとにして計算されるようになった。改革は15年間の間に徐々に行われ、改革の翌年1994年に11年間の最高給与の平均とされてから、毎年1年づつ延長されて、2008年には最高給与額だった25年間の給与の平均となる。1999年現在では、過去最高だった16年間の給与が基本年金支給額の計算ベースとなっている。また改革前には、就業者は37.5年間保険に加入していれば満額年金を受け取ることができたが、将来は満額年金を受給するためには40年間の保険加入期間が必要となった。これも徐々に進められ、1年ごとに四半期の最低保険加入期間の延長が行われ、40年間という保険加入期間の目標は2003年に達成される。1999年現在では、保険加入期間が39年間以上で退職する者に満額年金が支給されている。
一般制度の基本年金支給額は、上記の年金計算ベースの25%から50%となっている。満額年金(50%)を受給できるのは、完全支給年金受給に必要な保険加入期間(2003年に40年間)を満たしている60歳以上であること、あるいは65歳以上であること、となっている。必要な保険加入期間を満たす前に退職する60〜65歳の人は、65歳になるまでの間(あるいは満額年金支給率となるまでの間)、四半期ごとに1.25%が満額年金から減額される。しかし支給率の減額には、退職軍人、3人以上の子どもの母親などには例外措置が存在する。また保険加入期間の計算にも例外扱いが存在する。例えば、一定の条件のもとに非就業期間も保険加入期間として加えられるし(病気、出産、失業保険を受給した失業期間、兵役の間など)、子どもを養育した女性(子どもが16歳になるまでの間に最低9年間養育した場合)には子ども1人につき8四半期が追加される。また満額年金には最低支給額が定められている(1999年現在で年39,416.05フラン)。しかし基本年金の年金支給額は、社会保障の上限の50%(1999年現在で年86,820フラン)を越えることはできないとされている。