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しかしこの推計については、1999年10月の国家統計局の推計人口(高齢化率7%)との格差が見られるように、現実の人口変化とくに老年人口の増加速度は速く、2000年の人口調査等に基づいた新推計が待たれるところである。

 

2. 中国の人口高齢化の特性

中国の人口は巨大であり、従って老年人口も巨大であるが、中国人口の高齢化にはいくつかの特性がある。

 

(1) 急速な少子化による高齢化

1970年代以降推進されてきた晩婚化と「一人っ子」政策の結果、中国の出生率は1970年の33.4から現在の16と約半分以下になっている。そして、人口構造は、出生率が低下したことにより、高齢化が急速に進行している。中国の過去4回にわたる人口調査を見ると、1953〜1990年の間に中国の年少人口割合は36.3%から27.7%に低下し、15歳〜59歳の生産年齢人口割合は56.4%から63.7%に上昇した。同期間に60歳以上高齢人口割合は7.3%から8.6%に上昇した。特に1982〜1990年のわずか8年間で、年少人口は5.9ポイント低下し、生産年齢人口と60歳以上高齢人口はそれぞれ5.2ポイントと0.7ポイント上昇している。

 

表3 4回の人口調査で見る中国の少子高齢化の変化(1953〜1990年)

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資料:中国国家統計局、中国老齢科学研究中心等。

 

世界人口の2割強を占める巨大人口が短期間に人口転換を成し遂げ、人口構成を著しく変化させたことは世界の注目を集めるところであり、年少人口の減少と生産年齢人口の増加は経済発展の上からは「人口ボーナス」とも考えられる。しかし、同時にこの間、低死亡率と寿命の伸長により、老年人口も急速に増加し始めている。

 

 

 

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