「でも、私は逆を考えたんです。ちょっとした買物や掃除なら隣人に頼めばいい。二四時間三六五日介護を強いられ、心身共に限界に達し、親子心中一歩手前の緊迫した状況を何とかしなければ、何の社会資源にもならないのではないかと」
当事者として、家族介護の大変さを味わい尽くしてきた吉田さんだけに、その思いは強かった。そして、たとえリスクは高かろうとも、いつはじまるかわからない社会的サービスをただ、待っていても仕方ないと、一九九六年より活動を開始したのであった。
現行の地域社会資源では対応できていないケースは想像以上に多かった
それから四年。現在、『ハートぽっぽ』の利用者は九〇名、支援者は一八○名ほどになった。利用者の内訳は障害児者が九割、高齢者が一割。年齢は下は二歳から上は九三歳までで、九〇名のうち、毎日利用者が多いことも同団体の大きな特徴である。
「何でもやります、誰でも受け入れますと言っていたら、結果として、重介護や知的に重いハンディキャップを負う方が多く集まってしまいました。ですから、求められる支援内容も、早朝や夜間の預かり、泊まり込みでの見守り、深夜の体位やおむつ交換など、むずかしいケースが多い。