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住居、食事、娯楽をまとめて提供して面倒を見るアシステッド・リビングをホテル産業が見逃すわけがなかったのである。

 

ホテル産業の進出で高くなる料金

 

しかし、高級ホテルの参加は施設の高級化を招き、それは結局費用の高額化となって利用者に跳ね返ってくる。たとえば洗濯はシーツはただでも個人衣料は有料だ。アイロンがけも別料金である。薬を常用するシニアには毎日きちんと服用時間に持って来てくれるが、それもただではない。転んで緊急ひもを引けば、エバーグリーン・ウッドでは、それだけで二五ドル(約二六〇〇円)請求される。トイレットペーパー、せっけん、シャンプー、電話代などはもちろん自前だ。

ハリー・クリンガーさんは「すべてのサービスがいちいちお金で計算されるので神経質になる」と言う。「お金のことは会計士の弟に任せている」というブランチさんも「将来自分や夫が入れる所ではない」ことは知っている。マンハッタンの一等地に開設したアトリアは、基本家賃だけで一部屋月額三七〇〇ドル(約三八万円)が最低である。また施設によっては利用者の医療保険の手続きを代行してくれるところもあれば、そうでないところもある。

最近では、ビジネス先行的になり過ぎるという見方も出てきた。新聞はよく調べてから選ぶようにと忠告しており、もっと手軽で、安心して住めるアシステッド・リビングにするよう政府の対策が望まれている。

 

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マリオット・ブライトンガーデン。中庭は散歩する人たちでにぎわう憩いの場。

 

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ベットの脇の壁に緊急用のひもが取り付けられている居室。

 

 

 

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