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盲学校と特別養護老人ホームで体験

小山梨沙さん

「盲導校では二日間ということもあり接する機会は少なかった。アイマスク体験をさせてもらい、今まで気付かないところで違いを感じ、気遣いが必要だとわかった。老人ホームへ行く前は、どう接したらいいのか考えていた程度だったが、入居者が何もできないまま寝たきりで、また機械的な毎日で、全く違う世界にショックを受けた。それにも増して寮母さんの働きぶりに感銘を受けた。福祉の仕事は私にほできないと思ったが、友達との関係とは違い、相手の立場を考え対応することが大事だとわかった。人間としてとてもいい体験をしたと思う」

 

前述の黒澤教授らの調査でも、約九割の学生がこの体験が教員としての資質向上に役立ったと評価している(前頁グラフ参照)。

 

介護等体験の実施上の問題点 送り出す大学側の対応

 

このように成果が期待されている制度ではあるが、実施上の問題点も多い。一つは学生を送り出す大学側の問題だ。十分に検討・準備する時間がなかったので、「たとえば、どの学年で実施するのがよいか、教育実習期間の延長と合わせて授業欠席時数の増加にどう対応するかなど、各大学で検討しなければならない課題は多い」と黒澤教授は指摘する。しかし「教師の力量形成にどれほど影響するかについても今後の研究課題」とする一方で、「学生用テキストの作成や事前指導の充実などできるところから条件整備を行い、とにかく実りあるものにしていかなければならない」という思いは強い。

では、実際、大学ではどんな指導が行われているのだろうか。事前指導では、事務手続き、体験の意義・心得、施設の概要説明などが行われるが、大学によりさまざまで事務担当による簡単な手続き説明などで終わりのところもある。

 

 

 

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