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当世高齢事情 ?10

 

社会の高齢化により、従来の慣習や一人一人のものの考え方もどんどん変わってきました。特にお金が絡んでくると問題はさらに深刻。そんな当世の高齢事情をもっとも身近に見ている公証人の方に道しるべのアドパイスをお願いするシリーズ。さて、あなたはどんな生き方を選択しますか?

 

お墓の悩み

回答者 清水勇男

蒲田公証役場・公証人

 

Q 除夜の鐘が鳴り終わると、ああ、今年も何とかお正月を迎えることができた、でも来年のお正月はもう…、などと考えてしまいます。主人に先立たれて二〇年、車イスが欠かせない一人住まいの七六歳ですが、三人の娘が交代でやってきて面倒を見てくれますので、その点は安心なのです。一番気がかりなのは、お墓のことです。子供は娘三人で、それが三人とも長男と結婚してしまったために、お墓を継いでくれる者がおりません。このままでは、私が死ぬとお墓は無縁墓になってしまい、ご先祖様に申し訳が立ちません。どうしたものでしょうか。

A 遺言のことで公証役場に訪れる多くの人が、お墓に関するさまざまな悩みを訴えておられます。少子・高齢化の時代を迎え、お墓を継ぐ人も次第に少なくなっていくことでしょう。子供に男の子がいたとしても、その子が継いでくれるとは限りません。お墓を誰に継いでもらい、先祖の供養が途切れないようにするか、これは多くの人の共通の悩みだと思います。それをどう乗り切ったか、いくつかの実例を紹介しましょう。

一. 老父と同居の次女夫婦とが話し合い、墓石の表面にある「○○家の墓」の文字を削り取って、代わりに次女の夫の姓を入れた「△△家の墓」の文字を彫刻した。このお墓を次女夫婦が継いでいくことにし、お墓の存続を図った。

 

 

 

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