利用者の人権を護る仕組みを
しかし東京の特別養護老人ホームの処遇実態調査によれば、定時のおむつ交換は一〇〇%だった。起床、就寝の時刻が決められている所も九〇%に達する(前掲書)。人生最後の拠り所である老人ホームで、なぜこんな規制を設けなければならないのか。人生の先輩である老人を子供扱いする所が何と多いことか。
「具体策」としては「利用者の安全・尊厳・人権を護る仕組みの確立」を強調した。必要なのはそのための、フォーマル、インフォーマルなチェック機構を確立することだ。そして徹底した情報開示が求められる。
中熊さんは私の質問にこう答えている。
「今までの福祉制度は『措置』という行政処分の形で行われ、その体質が社会福祉法人などのサービス提供者に染み込んでいます。それをいったん、はぎ取らなければ、あるべき姿を実現することは不可能だ。それほどその悪弊の根は深い」
「今回の与党三党の動きでも、『税方式』の方が優れているといえる面があるのも事実です。とはいえ、保険制度のステップを抜きに、『税方式』でスタートするのは最悪の結果につながるでしょう。というのは、社会福祉の基礎構造改革がとん挫することになりかねないからです」
「日本の福祉サービスを質的にも量的にも変えていくのは、従来の担い手である自治体や社会福祉法人ではなく、これから新しく登場してくる営利法人やNPOなどです。従来の担い手たちは、この変革に追随する形で変貌を遂げていくのではないか。変貌を遂げられなければ、消費者から見放されて消え去るのみです」