石川 端的に言って、ぼくなんか科学技術の進歩はこのくらいでいいから、あとは人間の内面的な問題をもっと追求したほうがいいんじゃないかと思う。もう十分幸せですよ(笑)。
堀田 本当に同感です。
石川 戦争に負けて、戦後、価値観が多様化しましたね。戦前の考え方は批判され放棄されたけれども、ならば新しい価値観がきちっと生まれてきたかというとそうではない。むしろ混乱して、そこにアメリカから民主主義が入ってきたわけです。本来なら権利があれば当然義務があり責任があるけれども、そこが無視されて、たとえばかつての美濃部さんみたいに一人でも反対したら橋をかけないとか、これは誤れる民主主義ですよ。次第に利己的な社会になってしまって、最近ようやくそれに対する反省が起きはじめてきているんじゃないですか。二一世紀に向けて、日本人が少しずつ変わってくれるといいがなあと思っています。