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石川 端的に言って、ぼくなんか科学技術の進歩はこのくらいでいいから、あとは人間の内面的な問題をもっと追求したほうがいいんじゃないかと思う。もう十分幸せですよ(笑)。

堀田 本当に同感です。

石川 戦争に負けて、戦後、価値観が多様化しましたね。戦前の考え方は批判され放棄されたけれども、ならば新しい価値観がきちっと生まれてきたかというとそうではない。むしろ混乱して、そこにアメリカから民主主義が入ってきたわけです。本来なら権利があれば当然義務があり責任があるけれども、そこが無視されて、たとえばかつての美濃部さんみたいに一人でも反対したら橋をかけないとか、これは誤れる民主主義ですよ。次第に利己的な社会になってしまって、最近ようやくそれに対する反省が起きはじめてきているんじゃないですか。二一世紀に向けて、日本人が少しずつ変わってくれるといいがなあと思っています。

 

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日本の国民一人ひとりの役割。

人が人らしく生きられる二一世紀に向けて

 

堀田 政治でも経済でもあらゆる面で変革が必要で、では、それを好ましい方向に引き向ける原動力は何かといえば、やはり突き詰めれば市民の意識だと思うのです。私たち一人ひとりが価値観を変え、生き方を変えて求めるものを変えていく。企業にしても、儲けるという概念の上に、あるべき社会とそこから得られる幸せの基準が社会から示されれば、必然的につくるものも変わります。科学技術も企業のニーズに応じて発展することが多いですから、環境にも配慮し、社会的な調和を考えた方向にいくのではないか。新しい問題として、今、生命科学が非常にクローズアップされていますが、これなどもみなでしっかりと納得できる方向性を決めていかないといずれ大変な事態になると私などは思っているんですが。

 

 

 

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