すべての世代のための社会をめざして
一九九九年は国際高齢者年です。今年一年、日本はもとより世界各国でさまざまな取り組みが行われてきました。さわやか福祉財団でも関連団体と連携して「高齢者年NGO連絡協議会」を発足させ、シンポジウムの開催を中心に広くその趣旨を伝える活動を実施してきました。この一二月で「国際高齢者年」は幕を閉じますが、その理念が二一世紀に向けて広く受け継がれていくことを願い、ここに「高齢者憲章」をご紹介します。
高齢者憲章
わが国はこの半世紀の間にめざましく発展し、国際的にも経済大国といわれるまでになりました。国民の生活水準や保健医療も向上し、いまや人生八〇年、世界一の長寿国となっています。
しかしその一方で人口の少子高齢化が急速に進んでおり、二一世紀の初頭には四人に一人が六五歳以上の超高齢社会になると予測されています。私たちの身のまわりでは、これまでにない多くの問題が表面化しています。特に、高齢者を「社会の被扶養者」と位置付けている制度や慣習が多く、現在の高齢者の意識や生活行動にそぐわない社会のありようが問題を生んでいるといえます。介護を必要とする高齢者も少なくないのは事実ですが、一般には高齢者のほとんどは健康で、就労やボランティアなどの社会参加、若い世代との交流など、生きがいのある生活を望んでいます。
こうしたわが国の状況の中で、高齢者問題にたずさわる関係団体(NGO)は国際高齢者年にあたり「高齢者年NGO連絡協議会」(高連協)を結成し、「すべての世代でつくろう ふれあい社会」をスローガンに活動を展開しています。
高連協は国連が提示している「自立、参加、ケア、自己実現、尊厳」の高齢者のための五原則に、高齢者自身の「社会的役割」を加えたキーワードをもって、すべての世代が平和で生きがいのある生活を追求できる社会、年齢による差別のないエイジレス社会の創造をめざしています。
そこで私たち高連協は、この運動の基本的指針を「高齢者憲章」としてまとめここに提唱します。