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さわやか愛知の事務所は川上代表の自宅内にある(写真は川上さん)。

 

「介護保険への参入はメリットとデメリットがあります」と割り切った上で指定事業者になろうと準備しているNPOを紹介しよう。

愛知県大府市周辺でホームヘルプ、移送・配食サービスなど多彩な活動をする特定非営利活動法人福祉サポートセンターさわやか愛知だ。

九四年、主婦の川上里美さんが、たった一人で立ち上げたあとネットワークを大府市の外にも広げてきたNPO。サービスを提供する協力会員は一八歳から七七歳の三二八人。うち看護、介護などの有資格者は七〇人。サービスを受ける利用会員三三〇人である。月間サービスの活動実績は九九年九月で三九〇〇時間に達する。

今年七月七日に特定非営利活動法人の認証を受け、介護保険時代にふさわしいNPOに脱皮しつつある。最大の変化はサービス提供体制をボランティア・サービス部門とプロのサービス部門に分けたこと。設立当初からしてきた時間預託によるボランティア・サービスを「扶助事業部」に、有資格者が働くプ口のサービス部門を「専門事業部」にと組織を再編成した。介護保険の給付対象となる「訪問介護」(ホームヘルプ)、「通所介護」(デイサービス)および「居宅介護支援」(ケアプラン作成)は専門事業部が担当する。

専門事業部のスタッフは介護保険事業のプロとして働くだけでなく同時にボランティアとしても活動することにしている。つまり一回の訪問で介護保険によるサービスを提供し、要望があればボランティアワークもするという。ボランティアを根っことするNPOならではの活動スタイルであろう。

介護保険体制に移る説明会はすでに二度開いた。組織改編を会員に周知し、「市民互助型団体として何ができるか」について理解してもらった上で来年三月初めまでに、一人ひとりの会員がどんな活動をし、どの部門に所属するのか自己申告してもらう。専門事業部に入る会員は、一〇月半ばで、一〇人。来年四月からの活動は「保険」前と同様、時間預託ボランティアサービス中心になりそうだ。「誰からも援助を受けず、口出しも受けず、自由に、自立していきたいと思います。そのため、いろいろな事業に取り組んでいるのです」(川上代表)。

 

 

 

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