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四町それぞれのテーマで情報システムを構築する実験を行い、成果が得られれば四町に広げていこうという「情報通信システム試行的事業」だ。

橘町では「徘徊探査モデル事業」を九八年一〇月から開始した。これは徘徊癖のあるお年寄りに、どこに居るかを探知する端末器を装着してもらい、迷子になったときにはパソコンで居場所を探査し、いち早く保護することができるというシステム。二四時間気が抜けない介護者の負担を軽くし、徘徊高齢者の安全を確保することが目的だ。

東和町では一人暮らしのお年寄りの安否を確認する「高齢者見守りネットワーク支援システム事業」を検討中だ。高齢者宅の冷蔵庫などの家電品にセンサーを組み込み、電話回線を使ってコンピュータ・ネットワークによって安否確認しようというものだ。

人と人のつながりが親密な島の暮らしの中で、このような情報通信システムが必要なのだろうか? そんな見方に対して、橘町企画情報係長の中尾豊樹さんは、「高齢者を見守る隣近所の目がどんどん少なくなっている。人の目に代わるものとして情報通信システムが果たす役割は大きい」と答える。

現実に島では歯が欠けるようにお年寄りの家が空き家になっていく。同じ集落に暮らしていても、空き家ができると人のつながりも分断されがちだ。比較的元気なお年寄りがそうでないお年寄りをサポートするという地域介護も、超高齢社会では限界がある。

大島町では医療機関と連携して「遠隔医療システム事業」を推進中だ。周防大島には離島が各町に一つずつある。そこで大島町では離島に暮らす人や寝たきりで自宅療養している人のために、テレビ電話を使って映像や音声、患者の身体状況を示すデータを医療機関に電送するこのシステムを構築。

 

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日本社会事業大学の学生も、島で福祉の実習に。

 

 

 

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