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ボランティアで、高校野球の審判を務めて二一年。

選手たちのひたむきな姿に触れると自分も負けるものかと、勇気がわいてきます

 

大阪の地を訪ねたのは、まだ、残暑の厳しい九月半ば。選手権大会での熱闘の余韻を残すかのように、山名さんは、まっ黒に日焼けした顔で出迎えてくれた。

「夏の大会はなかなかハードですから。日中のいちばん暑い時間帯に球審を務めると、途中、汗でベトベトになった服が、最後には汗も出尽くして、シャツもズボンもカラカラになってしまうほど。ひと試合で三キロ近くは体重が減ってしまいますからね」

こうした体力的な厳しさに加え、正しくジャッジできて当たり前で、話題になるときは、誤審をしたなど悪いことばかり。そういう意味では、審判は労多くして報われることの少ない役割でもあるが、「これは審判をやっている方しかわからんと思うんですが、緊迫したゲームであればあるほど、無事終わって、その緊張感から解き放されたときの爽快感といったら。自分でプレーしているわけじゃないんですが、その試合の一員として溶け込めるのが、何よりも楽しいんですわ」と言って、白い歯を見せた。いかにもスポーツマンといった精悍な風貌とやさしい笑顔が、人柄をしのばせる。

 

ちょっと手伝うだけのつもりだったはずが…

 

元巨人軍の長島茂雄選手(現・巨人軍監督)に憧れて中学から野球をはじめ、高校、大学でも野球部に所属。

 

 

 

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