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「“企業は単に利益を追求するのみではいけない。社会への還元も企業の役割である”というのが社長の口癖です」と二人は話す。

一九九一年、海外からの留学生のために豊島区南長崎にマンションを購入した。東京大学および日本大学への国費留学生六名が格安の家賃で生活している。韓国から三名、中国から二名、イタリアから一名、いずれも優秀な女子学生である。いずれはこの倍くらいに増やす予定だ。社長の娘さんが海外留学をした際、住居探しで苦労したことがきっかけだという。

また同社では、全国にあるチェーン店に募金箱を置いている。

「浮かんだアイディアはすぐ実行しないと怒られるんですよ。お客さんが帰りにお釣りなどを入れてくれます。店長も積極的に協力してくれますよ。普段忙しいので労力で奉仕することができませんのでね。社長もよく入れてくれます。結構集まりますね。従業員の関心も高まってきたという証拠でしょう」

社長のアイディアではじめられたこの募金箱に集められた資金は、現在のところ『さわやか福祉財団』が有効に利用させていただいている。今後、こうした貯金箱があらゆる企業の至るところに置かれるようになってほしいものだ。硬貨のいっぱい入った募金箱を見ながら二人は満足そうに笑った。

アイディアはこれからもどんどん出てくるであろう。

「社長はいろんなことを考えていると思います。やるぞと言ったらすぐやらないと気が済まないタイプですからわれわれも大変です」

新しい考えによる企業経営と社会への貢献活動の双方を追求する株式会社パシャの今後の発展が楽しみだ。

 

 

 

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